■コラム■少欲知足の心得

2023/06/20

【少欲知足】という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「少欲」とはむやみやたらに物を欲しないことであり、「知足(足るを知る)」とはすでにあるものに意識を向け満足しましょう、という意味です。お釈迦様が唱えた仏教の言葉だそうです。

例えばダイエットのために夕食のご飯を半分にしよう!と心に決めたとしましょう。
ある人は「半分しか食べられないのか、足りないなぁ」と思う。
ある人は「半分も食べられる。ゼロではないだけありがたい」と思う。
同じ量の食事を取っていたとして、どちらが精神的に健全でしょうか。この「半分しか」と「半分も」の違いが少欲多足の本質です。

ここ日本は美味しいもので溢れていますし、いつでも好きなものを好きなだけ食べることが出来ます。
食欲に限りはありませんから、あれも食べたいもっと食べたいに従っていたらとんでもない体になってしまいます。
そうやって欲に任せて食べ続けた結果がいらない場所にくっついた贅肉です。

そして体重を落とそうという過程において、多かれ少なかれ入ってくるエネルギーは必ず抑えなければなりません。好きなものをお腹いっぱい食べることは出来ませんし、空腹を感じたらすぐにおやつを食べることも出来ません。つまり、「欲」を「少なく」する必要があるわけです。仏教的には「煩悩」に打ち勝つ、とでも言うのでしょうか。

ダイエットとはいえ断食をする必要はありませんから、何かしら食べられます。その量を少なくする必要があったり、揚げ物やお菓子などハイカロリーなものを避けることになるだけです。
その食べられないものにばかり目をやって、あれが食べたいこれも食べたい…と欲するならそれは辛いことだろうと思います。揚げ物やお菓子、ピザなどではなくても、そもそも「食べるもの」には困らないのです。それだけでも大変ありがたいことだと思いませんか。

食欲だけではありません。今自分が持っているものや側にいる人、置かれている環境に対して、もっと良いものやもっと量が欲しいと追うと、それが手に入ったとしても心が満たされることは決してありません。人は手に入れたものに対して興味を持ち続けることは出来ませんし、たとえ希望通りになったとしても、さらに別のものがより良く見え欲しくなるだけでしょう。人の欲望に際限はありません。恐ろしいですね。
それよりも、今ここにあるものに意識を向けて満足し、感謝することがこの欲望に打ち勝つことが出来る唯一の手段だと思うのです。

A「これしか食べられないのか。」「あっさりしたものばっかりで物足りないな。」
B「食べられるだけ幸せだな。」「あっさりしていて美味しいな。」

僕は減量中、よくBのように考えて食事を摂っています。「足るを知る」から「欲が少なく」なると思います。

「人はいつ死ぬか分からないんだから、好きなものを食ってやるんだ!」という考え方を否定はしません。
ただ食べたいものだけを好きな量食べていたいのであれば、スリムでかっこいい体は諦めなければなりません。
「食べたい」という「欲」を消し去ることは出来ませんから、どう折り合いをつけて「満足」していくかを考えるのもダイエット成功の秘訣なのだと思います。

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